身体拘束についての情報

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身体拘束と介護

 「身体拘束」という言葉があります。私たちの日常生活ではあまりお目にかかるものではない、何かとても冷たい響きを持つ言葉です。イメージとしては柱かなにかにロープで体を縛りつけているとか、牢屋にでも監禁しているといったものが思い浮かぶと思います。ところが、その身体拘束が長年にわたり、たいした批判も受けずに行われてきた場所があります。それは残念ながら医療や介護の現場です。もちろん柱に縛ったり牢屋に入れたりというわけではありませんが、「転ぶと危険だから。」とか「目を離すと何をするかわからないから。」等の理由付で、抑制帯という名の紐や、「転倒防止ベルト」等の名目の商品を用いて、ベッドや車椅子から離れられないようにすることが行われてきました。しかし近年、これらのあり方に「ほんとうにこれでいいのか?」という疑問や人権の立場から、批判や先駆的な取り組みが行われるようになり、ついには介護保険の施行にあたり「介護保険施設では身体拘束を行わない。」という事実上の規制が行われるようになりました。

 これら身体拘束を行わないという立場の基本的な考え方には、看護・介護の受け手の人格にとって、身体拘束とはどんな意味を持つのかという問題提起が第一にあり、そこから生まれる様々な弊害のへ指摘と、身体拘束を用いない看護・介護に対する事例を通した強い確信があります。そして、身体拘束を痴呆性高齢者の事故防止や徘徊対策の最も簡便な手段として固執することに対して、患者(利用者)の人格を軽視しているにもかかわらず、それを用いることの理論武装に明け暮れて、人格を保護するための介護や看護の探求という今日的な課題から逃避していると主張しています。確かに人手の問題や、転倒等の事故とそれにまつわる様々なリスクのことを考えると、「安全第一」となるのも無理も無いことですし、それが故に反論も出てきます。しかしその「安全」ははたして誰にとっての安全なのか、身体拘束をしないで済む努力をどこまでしたのか問われれば、とても反論しきれるものではありません。

 そもそも「身体拘束を行わないこと」と転倒などの事故は相反する関係のように捉えられがちですが、必ずしもそうではありません。場合によっては身体拘束をすることで身体的・精神的機能低下を引き起こし、逆に転倒を誘発する場合もあります。そういう場合の事故の原因は、往々にして拘束していた方の拘束を何等かの理由で解いていた場合に起こったりしています。つまり拘束がゆえの事故といえます。

 ところで、このように語っているかぎりでは当施設もかなり進んだ身体拘束ゼロ対策が採られているかのようですが、実はまだ駆けだしたばかり、ものを言うのもおこがましい現状です。どうやら車椅子ベルトくらいは用無しになりましたが、まるで禁煙しはじめのタバコみたいなもので、理屈ではわかっていても気を許すとプカリプカリとなりかねません。禁煙が絶煙、さらに健康体へと進んでゆけますよう努力してまいりますので、お気づきの点などがございましたら何なりとご指摘下さいますよう、お願い致します。

機関誌2001年10月号「あかぼこ山」から

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