■ 2010.08.01号
1.夏と高齢者 今年の夏は特に暑い!5月頃には「今年は冷夏の恐れあり。」などとテレビで言っていた気象予報士がいましたが、とにかく暑い!なんでもロシアでは記録的な暑さが続いていて、ウオッカを飲んだ酔っ払いが、暑さにおかしくなったのか酔っ払った勢いなのか、池や河にやたらに飛び込むものだから6月だけで1200人も水死者が出たとか。真冬に凍った水面を削って飛び込むモスクワっ子の姿は毎年ニュースで見ますが、酷暑にしろ酷寒にしろ水に飛び込んでニュースにするロシアの人達。そう言えば司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」の中で、203高地の激戦でその決着が付いたとたんに、戦場の街のあちこちでロシア兵が日本の兵隊と酒を酌み交わし始めたというくだりがありましたが・・・。恐るべし、ロシア人! 話題がすっかりそれてしまいましたが、高齢者にとって夏の暑さはやっかいなもの。熱中症はその最たるもので、総務省消防庁によると、今年は5月31日から7月18日までの間に5,574人が救急搬送されており、その約4割にあたる2,282人が65歳以上の高齢者だったとのこと。(読売新聞2010年7月24日)また、同記事の中で「高齢者は体温の調節機能が衰えており、体内の水分量も若い人より少ない。暑さに対する感覚が鈍くなり、まめに(水分を)補給しないことも影響している。」(京都女子大中井誠一教授)と、その大きな要因を紹介しています。実は中井教授の一言には高齢者、特に寝たきりや認知症の高齢者にとって大変厄介な要因が少なくても4つ指摘されています。 (その1)高齢者は体温の調節機能が衰えている。 高齢者では暑さ、寒さに対する感覚が鈍くなり、身体の反応も弱くなっています。具体的には、暑くても汗をかきにくく、汗の量も少なくなります。また暑いと皮膚の血流が増えて体内の熱を逃がそうとするはずですが、高齢者の場合、暑くても皮膚の血流量が増えにくくなります。逆に寒くなっても皮膚の血流量があまり減らないため、体内の熱を逃がしてしまい、体を冷やしやすくなります。(参照:「TERUMO」) (その2)体内の水分量も若い人より少ない。 体内の水分量は、目安として小児で70~80%、成人で60%、高齢者は50%と言われています。つまり同じ条件でも高齢者の場合、備蓄量がすくないため、影響を受けやすいということになります。 (その3)暑さに対する感覚が鈍くなる。 当施設の施設長は「後期高齢者」です。得意の台詞が「施設のお年寄りの感じ方については、自分が一番よくわかっている。」さすがに1週間で熱中症で50人も亡くなっている最近こそ長袖のポロシャツ姿ですが、つい先日までその上にカーデガンを着込んでいました。それでTシャツに汗を流して駆け回っている職員をつかまえて「俺なんぞ、これでも暑くないんだよ。」と笑って言うのだから現場の職員は(-_-;)。さらには施設の認知症の方など、どこから出してきたのか、冬物のコートを羽織って歩いていたりするのですからびっくりしてしまいます。 (その4)まめに水分を補給しない。 施設のお年寄りに対して、この季節何が困るかといえば水分を摂りたがらないこと。「トイレが近くなるから。」「喉が渇いていないから。」「面倒くさい。」「自分の事は自分がよく知っている。」とか。脱水状態になれば大変になることを山のように並べても「いいんだよ。」と何がいいんだかさっぱり判りませんが、介助しても3口くらいでやめてしまう方も少なからずいらっしゃいます。その他「コーヒーなら飲む」とか「ジュースなら飲む」とか言う胆石症や糖尿病の方々・・・。なかなか苦労は絶えません。 以上が高齢者が脱水状態に陥りやすい要因の主なものですが、施設にいらっしゃる方々でさえこのように脱水を起こさないために現場のスタッフは悪戦苦闘を繰り返しています。ましてや在宅で身動きの不自由な方々、老夫婦世帯や一人暮らしの方々のことを考えると他人事で済ませる事はできません。テレビなどで熱中症予防の為の目安はいろいろ出されていますが、なかなかその通りには出来ない方々がいらっしゃるということがネックのようです。①クーラーや扇風機が嫌いでも、体温が平熱より上昇してしまうような温度にはしないこと。②水分は1回量は少量でも回数を多く摂ること。汗をかかなくても水分をコップ2杯分はいつもより余分に取ること。このあたりを何とかできれば少しは安心できるのではと思います。「そういえばおジイさんのおしっこがここに来て少なくなったねえ。」と気がついたなら、それは危険のサインです。 2.施設の風景 1)職場体験学習 ここ数年、中学校のカリキュラムの中に「職場体験学習」が出来た関係で、年に数回中学生がやって来ます。7月は5~9日の5日間、最寄りの青梅市立第2中学校の2年生4名が職場体験に訪れました。近年は高齢者のいない家庭がかなりの割合を占めており、ましてや虚弱な方々と接する機会など無いのが当たり前、最初はどう接していいのか全く判らずに戸惑う姿が見られましたが、2~3日すると彼らなりの接し方が見られるようになりました。後日職場体験の感想を寄せてくださいましたので、少し紹介させて頂きます。 ① 私はあまり老人の方々と関わることがなかったのでとてもいい経験になり、学ぶことがたくさんあり、色々な人とお話が出来、お手伝いが出来、とても有意義な時間を過ごせました。特にラジオ体操をしたり、お茶を配ったり、おしぼりを巻いたりするのが楽しかったです。「ありがとう」と何気ない、でも私にとってはすごく嬉しい言葉になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。(Yさん) ② 今回沢山のことを学ばせて頂きました。職員の皆様のおかげで仕事も楽しかったです。初めてのことばかりでとても不安でした。ですが、仕事をこなしていくうちに色々なことが出来るようになりました。私はお年寄りの方々とこんなに交流したことはありませんでした。全てのことが新鮮で、すごくやりがいを感じました。(Iさん) ③ 僕は最初、どんな職員さんがいて、どんなお年寄りがいるのか、とてもワクワクしていました。職場体験を始めると、働いている人はみんな大量の汗をかいていました。その大量の汗から、お年寄りの介護は思ったよりもすごく大変だということを改めて実感しました。でもその中で何時間も働いている職員の方々を見ていると、手伝いたくてしょうが無かったです。(I君) ④ 実際に施設に行ってみるとすごく大変そうでした。僕たちのやる仕事はそこまで難しい仕事ではなかったので、たぶんしっかり出来たと思いますがいかがでしたか。いろいろなことを教えてもらい、入居者の方々とも色々なことができたので良かったです。(S君) 2)夏の交流会 7月4日(日)に、施設近隣の方々やご家族様をお招きし、恒例の「夏の交流会」が催されました。玄関前では「お祭りひろば」、会 議室では「作品展」、2階食堂では「ビアホール」を準備、夏のひと時を楽しんで頂きました。お祭り広場にはたくさんのご家族連れが見え、子供たちの元気な声が響いていました。小さな赤ちゃんを連れた若いお母さん、もしかすると小学生の頃施設訪問でやって来た友田小学校の小学生だったのかな?ビアホールではお年寄りとご家族の皆さんとの和やかな懇談の風景があちこちに。とてもいい笑顔が溢れていました。ご家族同士の交流も垣間見られ、準備に忙殺された行事担当の職員も苦労の甲斐があったというものです。そのほか日頃当施設の運営にご協力頂いている皆様にも、施設の様子を知って頂く良い機会となりました。 3)在宅介護教室のお知らせ 日時) 8月28日(土)13:30~15:00 当施設2階食堂にて。簡単で楽しい手作りお菓子を作りましょう! テーマ) 「かんたんレシピで、お年寄りに手作りのお菓子をどうぞ!」
4.情報公開 1)平成21年度法人財務諸表
2)平成21年度カントリービラ青梅収支決算報告書 ① 資金収支計算書(自:平成21年4月1日~至:平成22年3月31日)
② 事業活動収支計算書(自:平成21年4月1日~至:平成22年3月31日)
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