施設からのニュース

あかぼこ山

2008.10.01
あかぼこ山 48号

1 成人病のはなし
 「成人病」。今の言葉で言えば「生活習慣病」。日頃の食生活や嗜好の習慣が大きく影響して生じる疾患ですが、その種類は様々です。具体的には、高血圧症(収縮期140以上・拡張期90以上)高脂血症(総コレステロール値200mg/㎗以上)、高尿酸血症(尿酸値7mg/㎗以上)、糖尿病(Ⅰ型とⅡ型に分類され、それぞれに定義があります)、金欠病(冗談です。生活習慣も原因の一つですが、病気ではありません。)などがあります。施設のお年寄りにもこういった病名を持った方が沢山いらっしゃいます。今回は成人病について少しお話してみます。
(その1)成人病は出世する(?)

 例えば「糖尿病」とか「脳梗塞」・「心筋梗塞」などの病名を聞いたとします。「糖尿病になったのは親が糖尿病だから」で、「脳梗塞になったのは塩っ辛いものが好きだったから」といった具合に、これらはそれぞれ別々の独立した病気だと思ってはいませんでしょうか。ところが施設の高齢者の方々の病歴を見てゆきますと、いくつかの同じような傾向というか経路のようなものがあることがわかります。例えばイナダがワラサになってブリに出世するように、病気(成人病)にもちゃんと出世街道があって、例えば高血圧は、高血圧にとって「良い環境」があれば、いくつかの役職(病気)を経てついには心筋梗塞に出世するのです。中でも出世の素質をふんだんに持っているのが糖尿病。その活躍たるやまさに「成人病界のイチロー」です。
(その2)塩と高血圧
 高血圧にも様々な視点がありますが、ここでは塩分との関わりの一つを見てみましょう。
 高血圧の方は「塩分を控えてください。」と必ず言われますね。なぜしょう?ここで一つ「左室肥大」という言葉を覚えていて下さい。左室とは心臓の図を見ると4つの部屋の右下に書かれている部分で、大動脈に血流を送り出す役割を担っています。高血圧の方はこの左室部分の筋組織が硬く厚なって伸び縮みが劣化する(繊維化)傾向にあります(左室肥大)。心臓の働きにとってこの「繊維化」は機能低下ばかりでなく心筋への血流量を減らし、心臓そのものを痛める全く困った現象なのですが、その状態の組織に塩分が加わり続けると繊維化はさらに促進されるのだそうです。そしてこれが進行すれば、繊維化→血流量減少→繊維化→血流量減少の一方通行、果ては「右へゆけば心筋梗塞、左へ行けばうっ血性心不全」が待っているとか。脅しついでにもう一つ。この状態の心臓には血液の滞留が生じやすいそうで、そういった部分で血の塊が生じ、大動脈へと飛び出して運悪く頭で詰まれば脳血栓に脳出血!冠動脈をふさげば心筋梗塞!考えただけでああお先真っ暗(ToT)/~~~。ところで、なにも左室肥大と言われたからすぐにでも重症化すると決まったものではありません。当然年齢や症状の程度、治療の有無、その他の疾患や生活管理の状態などで経過は大きく変ります。ですが、「高血圧で何が悪い!」と奥さんの心配を全く取り合わない御主人をネチネチいびる材料には十分ですので覚えておいてください。
(その3)活躍する糖尿病
 「糖尿病」もよく耳にする病気で、たいていどなたにも身近に「オレ、糖尿なんだ。」と言う方がいることと思います。ところが糖尿病ってどんな病気なのかとなると、いまいち判りづらい点があります。
人の体は細胞で出来ています。これらの細胞にとって車でいうところのガソリンに当たるのがブドウ糖です。細胞は血管を流れてくるブドウ糖を取り込んでエネルギーとする訳ですが、この部分に何らかの障害(細胞が栄養を取り込む鍵の働きをするインシュリンが分泌されなくなる他)があってブドウ糖を取り込みづらくなる、例えば血管にはガソリンが溢れているのに細胞はガス欠状態というのが糖尿病です。しかもその部分が手だとか足だとか特定できる場所ならいいのですが、全身無数の細胞でこれがおこるので始末が悪い。細胞はガス欠ですから「腹へった!飯よこせ!」信号を脳に送りますが、一方で血管の中はブドウ糖が既にたんまりの状態です。血管自身もそうですが、体の各臓器はこのブドウ糖たんまりの血液におおわらわ、特に腎臓は最前線で矢面に立たされ続けます。腎臓がダウンすると血液を洗ってくれる場所がなくなりますので、汚れたガソリンでエンジンがやられるように体のあちこちの臓器に悲鳴が上がります。悪くすれば血管も内臓もヘロヘロになり、目に来れば白内障や網膜症、腎不全になれば人工透析、心臓に来れば心筋梗塞、その他モロモロ数え挙げたらきりがない!ああお先真っ暗(ToT)/~~~。ところで、なにも糖尿病と言われたからすぐにでも重症化すると決まったものではありません。当然年齢や症状の程度、治療の有無、その他の疾患や生活管理の状態などで経過は大きく変ります。ですが「糖尿病で何が悪い!」と奥さんの心配を全く取り合わない御主人をネチネチいびる材料には十分ですので覚えておいてください。
(その4)その他
 もちろん成人病の云々は上記だけではありません。まさに「氷山に一角」です。またそれぞれが絡み合うことも珍しくはありません。ここで知っておいていただきたい事は、命取りになるような疾患も、始めは健康診断などで「血圧が高いですね、塩分を控えてください。」などと言われるところから、本人自身が日々「大きくなあれ、大きくなあれ。」と育ててそこに至っているという事実です。え?お前はどうなんだって?私は中性脂肪が高めで、高尿酸血症の疑いがあって、毎晩ビールを飲んでいますよ…。メタボで何が悪い!

2 俳句


  小ぬか雨 墨絵のような 秋景色         ( 竹鼻貞子様 )

    敷石に ほのかな香り つわの花         ( 小嶋英子様 )
                                

       暑さ過ぎ カニの鍋を食べたいな         ( 佐藤きせ様 )

          花咲く春は二度三度 人生春はただ一度     ( 寺島ちよの様 )


3 施設の風景

1)夏の交流会
 7月6日(土)恒例の「夏の交流会」を実施しました。当日は天気にも恵まれ、多くのお客様ご家族や地域の方々にお越し頂きました。1階玄関前の「お祭り広場」では、ヨーヨー釣りや射的は子供たちで大賑わい、模擬店も全く休む暇もないほどの盛況でした。2階食堂の「ビアホール」では、ビールや軽食がお手伝いして普段のご面会の様子とは異なった、ご家族とお年寄りとの楽しげな雰囲気に溢れていました。ローストポークのソースサービスや、模擬店の調理手順、的屋の内容など今回はいくつかの新しい試みをしましたが、お越し頂いた皆様にはどう映ったでしょうか。次回も楽しい企画を用意したしますので、お楽しみに。

2)お散歩クラブのあれこれ

(若草公園) (吹上菖蒲園) (御岳渓谷)


3)在宅介護教室のお知らせ

(テーマ)  認知症高齢者の介護 第2回 「排泄介護」 

(日 時)  10月25日(土) 午後1:30~3:00   (会 場) 当施設

 (その他)  ①当日会場までお越し下さい。 ②参加費無料 ③午後1:10に東青梅駅南口に送迎車が出ますのでご利用下さい。

 

4)ご家族懇談会のお知らせ

  今年もご家族懇談会の季節となりました。下記の要領で実施いたしますので、是非ご出席下さいますようお願い致します。

 (日 時)  11月1日(土)  午後1:30~3:00   (会 場) 当施設

 (その他)  ①後日ご案内をお送り致します。 ②午後0:45から東青梅駅南口に送迎車が出ますのでご利用下さい。

 

4 雑 記

  ある日の夜勤のこと。男性職員Kと同じく男性職員Iとの間で意地の張り合いがありました。Kいわく「Iが奥多摩周遊道路など自転車で軽く周れると言うのでマウンテンバイクで挑戦したらひどい目にあった。」Iが応えて「情けないね、自分ならママチャリでも簡単だね。」K「本当にそうだな、じゃあやってもらおうじゃないか!」そんな遣り取りの末、ついに引くに引けなくなったIは奥多摩周遊道路1周をママチャリ(お買い物自転車)で挑戦することになりました。もちろんKはバイクで付き添いを買って出ました。職員中で「どこまで行けるか」が話題となり、「完走」のオッズはうなぎ上り。そして7月のある日、ママチャリにバイクのブーツという妙なイデタチでIが青梅市内の自宅を出発したのが午前8:05。以後は付き添いKによる走行記録です。

二ツ塚峠8:45→数馬の湯11:50→周遊道路入口:12:40→都民の森:13:45→山頂14:55→小河内ダム駐車場16:20→古里駅前17:25→自宅着18:30。

(Iの談話)ツーリングやロード自転車の人達が追い越してゆくたびにこちらを見て笑うので、とても恥ずかしかった。でも自分に自信が持てました。今度は秩父連山1周に挑戦しようと思っています。もちろんママチャリで。応援してね♡



特別養護老人ホーム カントリービラ青梅