■ 2007.11.15号
1。後期高齢者医療制度 「長生きは罪なのでしょうか?」 こんな横断幕を先頭に、高齢者の方々がデモ行進をしているニュースをテレビで流していました。「長生きは罪?」と問われれば「そんな訳無いですよ。」と誰もが答えると思います。(仮に罪だとすれば私たちの仕事は「とても罪深い仕事」ということになってしまいますので、なにはさておいても「違います!」と言わせて頂きます。) それでは何で高齢者がデモなどしていたのかと言うと、来年4月から施行が予定されています「後期高齢者医療制度」に対して抗議をしていたのです。ところで、「後期高齢者制度」についてご存知でしょうか。意外と知られていないのですが、簡単に言えば高齢者の負担が増えるというものです。政策の立案者側から言えば様々な理由や目的があるでしょうが、実際にその制度の枠組みの中で生きてゆかなければならない高齢者の立場から言えば、苦情が出るのももっともなことだと思われます。ここでは現在までにわかっている制度の概要についてまとめてみました。 1.対象者 @ 75歳以上の全ての高齢者(生活保護受給者を除く) A 65以上の方で、広域連合より一定程度の障害を持っていると認定された方(障害者、寝たきりの方、人工透析患者等) 2.制度の枠組み @ 従来の国民健康保険が区市町村を保険者として運営していたものに対し、都道府県ごとに運営される後期高齢者医療制度は、複数の地域にまたがる「広域連合」を保険者として運営します。なお、保険料徴収や被保険者証の交付などは区市町村で行います。 A 後期高齢者医療制度対象者の方々を、現在加入している医療保険制度から脱退させ、個人として後期高齢者医療制度に加入。そのため、現在社会保険の被扶養者になっている方や、世帯として国民健康保険に加入している老人世帯の被扶養者の方も、それぞれに個人として加入することになります。 ※現行制度では、それぞれの保険制度に対して、横断的に「老人保険制度」が位置づけられていたのに対し、「後期高齢者医療制度」は75歳以上の方用の全く独立した医療制度となっています。 3.保険料 上記に従い、75歳以上の方全てが個人として保険料を支払います。そのため、従来社会保険の被扶養者であった方、老人世帯で国民健康保険に加入していた妻の方などにも、個人として保険料が課せられます。 (例1) 長男の社会保険の被扶養者の方(76歳)
後期高齢者医療制度の保険料は、月額1万5000円以上の年金を受け取っている方については年金からの天引きになります。 ※ この制度開始にあたり、65歳以上75歳未満の方(前期高齢者)の国民健康保険料も年金からの天引きになります。 (保険料額) 保険料は都道府県ごとに決められるため、住んでいる地域で金額は異なります。東京都における保険料は現時点では次の表の通りです。 4.窓口負担 @ 一般 :1割 A 現役並み所得者(単身世帯では年収383万円、 夫婦二人:520万円以上) :3割 ※対象は70歳以上。07年10月からすでに実施 B 前期高齢者で70歳以上、75歳未満 :1割⇒ 2割 5.一ヶ月あたりの患者負担の上限(自己負担限度額)の引き上げ 「低所得(住民税非課税)」「一般」「現役並所得」のうち、「一般」に該当する方の自己負担限度額の上限を引き上げる。 (通院) 1万2000円 ⇒ 2万4600円 (入院) 4万4400円 ⇒ 6万2000円 6.給付 @ 診療報酬別立て:新制度では、「後期高齢者」と74歳以下の人は、診療報酬(医療の値段)が別建てとなります。 A 定額制 :後期高齢者の診療報酬を「包括払い(定額制)」とし、保険が使える医療に上限が設けられます。 (以上) 2。俳句 雁来紅 金髪なびかせ サイクリング (小嶋英子様) 秋に思う イクラとカニが 食べたいな (佐藤きせ様) 紅葉葉を 待って嬉しき 青梅ビラ (中野幸子様) 孫という 吾に縁無き人形を 抱けば束の間 ばあばの気分 (竹鼻貞子様) 3.施設からのお知らせ 1)在宅介護教室を行います。 (日時) 12月15日(土) 午後1:30 〜 3:00 (場所) カントリービラ青梅2階食堂 (テーマ) 「排泄介護のポイントとその実際」
(その他) @ 参加費無料。ご希望の方は直接会場までお越し下さい。 A 午後1時10分に東青梅駅南口に送迎車を出しますので、ご利用下さい。 2)ボランティア募集 (内容) 書道クラブの指導
(活動日時) 第1・第3火曜日 午前9:00〜11:00 (その他) 1)お問い合わせは当施設(пD0428−23−6233)生活相談員(小嶋・比留間)まで。 4.雑記 北原亜以子さんという小説家をご存知でしょうか。時代小説を主に活躍の場とされていますが、市井(しせい)に暮す庶民、特に人の情を描くことに優れた作品を世に送り出しています。その中でしばしば取り上げられているのが「老いの暮らし」です。50になれば既に老人と呼ばれたこの時代、その日を食べてゆくことが精一杯の江戸の裏店に住む人々にとって、「老いること」は暮らしが立ち行かなくなる恐怖と背中合わせだったようです。若くても病気で簡単に死んでしまう時代ですから、子供も無い老人世帯や1人暮らしも結構あったようです。当然、健康保険も年金もありませんし、働くことままならない。面倒を見てくれる子供でもいれば幸せな方で、ささやかな蓄えを食い潰してゆく日々を恐れ、蓄えの尽きる日を寿命が追い越しそうな健康すら恨めしくなってしまう「老人」の心情が描かれています。年金も健康保険もありますが、それらがどんどん日々の暮らしを支える力を失ってゆく昨今、同じような心情を抱かれている方も少なからずいらっしゃるでしょう。「明日は我が身」と思うと、心が締めつけられるようです。 |