■Vol.
25
■2003年8月1日号
1 友田小学校5年生の施設訪問
今年も友田小学校の5年生の施設訪問が始まりました。(7月11日)2クラス43人が3階と4階に分かれて「お年寄りとの交流」に挑みましたが、初回とあってかなり緊張気味。ひとまずデイルームで歌を歌って、それから3〜4人のグループに分かれてお部屋やデイルームのお年寄りの所へ散ってゆきました。体はがちがち、目は宙を泳いで、ようやく開いた口から出てきた言葉は「好きな食べ物は何ですか。」……。それでもお年寄りから自慢の書を見せて頂いたり、「肩もみなら私にも出来る!」と何人もの方を回ったりと、少しずつ出来ることを見つけはじめました。中には「お菓子もらった。」と小さい声で言う子もいましたが、子供にお菓子をあげる機会に恵まれているお年寄りが意外と少ないのも現実。お菓子をあげるのも大きな喜びですから大事に受け取ってください。今後の活躍に期待しています。
2 在宅介護教室から (前号掲載の「疥癬とそのケア」の後編です。)
6.治療
治療は医師の指示と処方のもとに行いますが、基本は以下のとおりです。
(1)殺ダニ剤により寄生したヒゼンダニを駆除する。
(主な殺ダニ剤)
クロタミトン(オイラックス)・安息香酸ベンジル・Γ−BHCなど。
※オイラックスには、ステロイド剤の入った「オイラックスH」等があります。前号のノルウェー疥癬で触れましたとおり、ステロイド剤は使用できませんので誤用は避けてください。
(2)痒みなどの症状を抑える。
坑ヒスタミン剤や抗アレルギー剤が用いられる。
7.介護
治療中の介護のポイントに触れてみます。なお、当施設は多くの方が暮らしていらっしゃいますので、基本的には集団感染防止が主眼となります。そのため在宅介護と比較すると異なる点もありますが、基本は同じものと考えてください。
(1)隔離について
診断が下され治療が始まると、虫体は激減し、感染力は急激に低下します。虫体が死滅してから発疹が消退するまでにはタイムラグがありますので、治療を開始した患者では発疹がひどくても感染力は極めて低い状態となります。(反対に潜伏期間には症状は無くても生きた虫体が付着している状態ですから、無症状でも安心できない状態です。)そのため、ノルウェー疥癬患者以外では治療開始後の疥癬患者を隔離することは不要というのが一般的です。
※ 但し、当施設ではノルウェー疥癬に罹患する要件を備えている方や、痴呆症状があり、他の方のベッドにもぐりこむ方など、多くの要介護者が暮らすという環境にあるため、集団感染防止の観点から隔離をさせていただくこととしております。
(2)消毒
@使用していた部屋の消毒
ピレスロイド系殺虫剤であるペリメトリンを含有するエアゾール(市販品ではゴキジェット、スミスリン、ダニアース等があります)を噴霧する。噴霧後に薬剤の説明に従い、一定時間後に掃除機で除去する。
※診断されて間もない疥癬患者をケアする際には、使い捨て手袋および長袖の予防衣を着用する。虫は衣類をかき分けて侵入する力は持っていないと言われています。ただし、虫除けスプレーは効果ありません。
A手洗い
皮膚についた産卵前のメスは5分程度で皮下にもぐりこむため、患者と接触後は出来るだけ早期に石鹸と流水による洗浄を行います。洗浄が出来ない場合には酒精綿や50%アルコールスプレーを手指に噴霧する。(アルコールはヒゼンダニから急速に水分を奪うので有効である。)
(3)おむつ交換・衣類交換
落屑の中(皮膚から落ちるフケのような角質の破片)にはダニが潜んでいることも考えられるので、交換する際にはなるべく埃が飛び散らないようにし、脱いだ衣類はポリ袋に入れ、洗濯場まで運ぶ。
(4)洗濯
@毎日、下着・シーツ・寝具・寝巻き等を交換し、洗濯する。(十分な殺虫効果のある薬剤で治療が始まれば、自家感染の機会が減少するので、毎日でなくても可。)
A50℃以上の湯に10分以上漬け込み、殺ダニ後普通に洗濯する。湯ははじめから80℃以上であれば10分間50℃以上を維持できます。
(5)入浴
ヒゼンダニはお湯におぼれることはありませんので、入浴する場合は最後に行います。また、浴室や脱衣所で落屑があれば感染の可能性が出てくるので、(3)同様に留意する。また介護者は手袋・予防衣を着用する。タオルその他直接肌に触れるものの共用は避ける。
(6)移乗介助
身体的接触がある場合は予防衣、手袋を使用する。
(7)清掃
こまめな掃除機かけと空気の入れ替えを行う。治療開始後は殺ダニ剤塗布日にあわせて居室を殺虫消毒する。
8.その他
(1)予防的治療
疥癬患者が発生した場合は、下記に該当する方々に対して、感染防止を目的とした予防的治療を行うことが奨励されています。
@疥癬患者と同居している家族 Aノルウェー疥癬患者と接触した場合。B集団感染の発生した施設の入居者および職員。
(内容)
概要は以下のとおりですが、基本的には皮膚科の医師の指示のもとで行います。
@Γ−BHC軟膏を使用する場合
・ 頸から下の全身にΓ−BHC軟膏を塗布する。特に脇の下、肘の内側、臀部、外陰部、指の間は念入りに行う。
・ 塗布後6時間後に石鹸を使ってきれいに洗い流す。(神経への毒性があり、痙攣を引き起こす可能性があるため、必ず6時間後には洗い流す。また、傷口には使用しない。)
Aオイラックス軟膏を使用する場合
頸から下の全身に毎日1回、@と同様に留意しながら5日間連続して塗布する。 (以上)
3 行事の風景(鱒釣り大会)
6月12日(木)に奥多摩フィッシングセンターで鱒釣り大会を行いました。皆様心待ちの毎年恒例行事です。生簀(いけす)の縁まで車椅子で近づき、糸を垂れます。鱒はすぐに群がりますが、なかなか合わせることが出来ず、練り餌ばかりが盗られてしまいます。そんなこんなの繰り返しの末、やっと釣針に喰らいつきました!鱒はグググ〜っと水中を走って竿をたわませます。その瞬間、施設での日常生活では到底味わうことの出来ない感覚が手元まで伝わってきます。ブルブル震えて思い通りにならない竿先を力いっぱい引き上げて、そしてようやく竿を立てることが出来たその喜びが右の写真の笑顔になります。もちろん釣り上げた鱒は、その場で唐揚げにして皆さんのお腹にきっちりと収めて頂きました。
4 情報公開
5 お知らせ
@ お手伝いのお願い
諸般の事情から、人手不足がつのるばかりの毎日ですが、お年よりの暮らしがより潤いに満ちたものになりますよう、皆様のお力添えをお願い致します。
1)
俳句、川柳を一緒にやっていただける方。
2)下の外出行事の際に、車椅子を押していただける方。
・ 秋の遠足(10月2日)
・ ドライブ(毎月第3木曜の午前中)
・ 買い物 (毎月第3月曜の午前中)