■ 2016.05.01
■ あかぼこ山 60号
◆八十八夜って?
八十八夜は雑節のひとつです。雑節とは二十四節気以外に、季節の変化の目安とする特定の日の総称です。
他にも節分・入梅・半夏生・二百十日・土用・彼岸などがあります。
◆八十八夜はいつ
八十八夜は、立春からかぞえて八十八日目にあたる日で、だいたい五月二日頃でしょうか。
◆八十八夜って何か意味があるの?
八十八夜は春から夏に移る節目の日、夏への準備をする決まりの日、縁起のいい日とされてきました。
また、八十八夜の別れ霜というように、この頃から霜もなく安定した気候となり、茶摘み、苗代のもみまき、蚕のはきたてなど一般に農作業の目安とされています。
しかし「八十八夜の忘れ霜」「さつき寒」とも言い、急に気温が下がって霜が降り、農作物や果樹に思いがけぬ被害を与えることを警戒したことばもあります。
霜なくて曇る八十八夜かな 正岡子規
天気予報の発達した現在でも、農家では霜除けのよしずを取り払ったり、苗代の籾巻きを始めたり、というならわしを行っているところが多く、天然自然の暦に則って季節を迎えることが無病息災の祈りだった古人の知恵を受け継いでいるところも数多くあります。
◆八十八夜と茶摘みの関係
この八十八夜とお茶が結びついたのは、「夏も近づく八十八夜・・・♪」と茶摘みを歌った唱歌の影響も大きいようですが、実際には茶産地の温暖差によって茶摘みの時期は異なります。
新茶時期の出始めは、新芽を手で摘んだ上質なお茶が手摘み茶として、その後摘み取りのピーク時にはハサミ摘みや機械摘みとなります。
八十八夜に摘み取られるお茶は、古来より不老長寿の縁起物の新茶として珍重されています。
茶摘み最盛期である八十八夜、縁起を担ぐという意味合いと気候条件も含めてこの時期のお茶は極上です。
お茶の新芽には前年の秋からひと冬越えて蓄えられた成分があふれています。特有の若々しい香りが失われないうちに製茶された一番茶を、ゆったりと寛いで飲みたいものです。
一番茶は二番茶以降のお茶よりも、うまみのもとであるテアニンなどの成分を豊富に含んでいます。
5月5日と言えばこどもの日ですね。
鯉のぼりを飾り、柏餅やちまきを食べて、子どもの健やかな成長を祈る、国民の祝日です。
もともと、日本の暦では、5月5日は季節の節目となる「五節句」のひとつ、「端午」に当たります。
端午の節句には、男子の健康と成長を祈願し行事を行う風習がありましたが、古くをさかのぼると、実は女性のための節句であったことがわかります。
そもそも五節句という考え方は古代中国で発祥し日本に伝えられたものですが、日本ではこの端午の節句の時期、ちょうど田植えの時期にあたっており、豊作祈願のため女が家にこもって身を清める「五月忌み」(さつきいみ)という習慣がありました。この五月忌みと端午が結び付けられ、端午の節句は女性のための日とされたのです。
端午の節句が男子の日になったのは鎌倉時代以降のことです。
鎌倉時代といえば武家社会が成立した時代でもあります。
5月頃に咲く花として菖蒲が知られていますが、この「菖蒲」が「勝負」と同じ読み(しょうぶ)をすること、また菖蒲の葉が刀に似ていることから、端午の節句は男の子の節句として考えられるようになったのです。
以降、昭和時代に至るまで、その習慣は続きました。
1920年、トルコで4月23日が「国際主権と子供の日」として制定され、後に1925年、ジュネーブの子供の福祉世界会議で6月1日が『国際子供の日』として制定されました。
現在、「子供の日」を制定している国は数多くありますが、旧共産圏を中心とした多くの国がこの6月1日を「子供の日」としています。
1954年には国連総会が11月20日「世界こどもの日」として制定、エジプトやカナダなどで11月20日が「子供の日」として制定されています。
日本では戦後の1948年(昭和23年)、端午の節句であった5月5日が『こどもの日』として、国民の祝日として制定されました。
国際子供の日が6月1日と端午の節句に近かったこともあり、また、当時国会にこどもの日を祝日にしてほしいとして寄せられた嘆願にも、端午の節句=5月5日をこどもの日にしてほしいと希望する意見が多かったことから、端午の節句がこどもの日になった、ということです。
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