施設からのニュース

あかぼこ山

2013.1.15
あかぼこ山 54号

 

1.水を摂らないと惚けてくる?

 「科学的介護への挑戦!『水・メシ・クソ・運動』と根拠に基づいた取り組みは個別ケアの集大成。」と、全国老人福祉施設協議会では「介護力向上講習会」を主催し、科学的介護の普及に努めています。この取り組みの主任講師である国際医療福祉大学大学院竹内孝仁教授が、科学的介護のさらなる普及を目指して介護力向上講習会の骨子の部分をブックレットにしたものがあります。今回はその1冊『水』(全国老人福祉施設協議会2012年)を参考に、高齢者の心身と水との大切な関係に触れてみたいと思います。

水は生命の元

①体の中の水分量

 私達の体の大半は水分から出来ています。その割合は以下のとおりになります。

  ・成人   体重の60%

  ・幼児   体重の80%

  ・高齢者  体重の50%

 例えば体重50kgの高齢者を例に取ると、その水分量は25ℓになります(その内15ℓが細胞内、10ℓが細胞外)。この水は体中をものすごいスピードで走り回っていて(心臓から出た血液はわずか50秒で心臓に戻って来ます)、その間に様々な重要な働きをしています。

②水の出入り

 体の中を走り回るこの25ℓの水は、その働きの必要上から、どうしても体外  

に捨てなければならない部分が出てきます。逆に言えば生きていくためにどう 

しても捨てなければならない水分があります。

・尿    体の老廃物を捨てる役割があり、1日約1500cc。尿が出なければ尿毒症を起こして命にかかわります。

  ・不感蒸摂 体温調節のため皮膚の表面から湯気のような形で1日700~1000ccの水分を放出しています。

  ・便    便には水分が200~300cc含まれています。

 この3つを合わせると2400~2800ccになります。そしてこれだけの水分を捨てなければならないのですから、当然外部から水分を摂って補わなければなりません。これが概ね次の通りです。

  ・飲水   1500cc

  ・食事   700~1000cc

  ・燃焼水  200~300cc(細胞内でエネルギーが燃えた際に産出される水分)

 考え方としては、食事から入ってくる水分、燃焼水として供給される水分を併せても、捨てる分には届かない水分量を「飲水」として1日1500cc摂取しなければならないということになります。

③水分欠乏が引き起こす諸問題

 水分の排出に対して摂取が不足する状態(水分欠乏)が引き起こす心身の状態に下記のものがあります。

 

1~2%

意識障害

2~3%

発熱・循環機能に影響

5%

運動機能(特に耐久力)低下

7%

幻覚の出現

10%

死亡

 

  体重50kgの人の場合、総水分量(25ℓ)の2%、つまり500ccが不足すると意識障害を起こすことになります。往々にして高齢者は体を動かす事がしんどくなればなるほど「トイレが近くなるから」と水分を摂りたがらない傾向にありますが、摂るべき水分からペットボトル半分から1本分の水分が不足しただけで意識障害が起こることを鑑みると「うちの年寄りは最近いつもボヤッとしている。惚けたのかしら。」というのは間違いかもしれません。実際に竹内教授が関わっているグループホームや老人保健施設などの事例では、1日1500ccの水分摂取に取り組んだところ、夜間の睡眠状態の改善、転倒事故の減少など意識状態の改善が見られ、また昼間の水分摂取量を増やして1日2000ccを目安にした施設では、夜間の尿失禁を大幅に減少させているという事例もあるとのことです。一度食事(汁物等含む)以外に1日1500ccの水分摂取が摂れているのかどうかを確認してみて、摂れていないようならばさしあたって1日1500ccを目処に水分摂取の工夫をしてみては如何でしょうか。

水分不足がさらに進んで2~3%(500~700cc)では上記の体温調節用の水分が不足し発熱が始まります。血液の凝縮など循環器にも影響が生じ脳梗塞のリスクが高まるとのこと。不足が5%(1250cc)になると運動機能が低下、ふらついて歩行困難が起こり、7%(1750cc)になると幻覚が出現するそうです。そして不足が10%(2500cc)に至ると死んでしまいます。じつは熱中症の怖さはここにあります。最初に意識障害が起こるため状況の理解や適切な行動を摂る事ができない。そのうちに動けなくなり、呂律も回らない状態で寝入ってしまう。そしてそのまま経過すると死に至るというものです。最初はペットボトル半分から1本分の水分不足だったものが、そのまま死に繋がってしまうリスクがここにあります。

  当施設でも、例えば認知症の方が夜間不穏状態になった、転倒したなどの事例があった際には、かつては見回りの強化等ばかりに目が奪われていましたが、最近は「まず水分摂取がどうなっているのか、しっかりと水分提供を行おう。」という方向になってきています。また朝食時に傾眠状態でなかなか食事が十分に摂れなかった方が、早朝に水分提供をすることで見違えるように食事摂取ができるようになった事例などもあり、身体と水分との関係には非常に重要な関係があることが実際の場面からわかるようになってきました。とはいえまだ著についたばかり、これからも水分の取り組みをなんとか続けて行きたいと考えています。(次回も体と水の関係について触れていきたいと思います。)

2.施設の風景 

<レクリエーションクラブ>

 毎月、当施設ではレクリエーションの一環として、「紙漉き」を行なっています。牛乳パックの両面を剥がし、その剥がした紙を細かくちぎり、ミキサーでさらに細かくして、紙を漉いていきます。各参加御利用者さんは細かくちぎるのに苦労されながらも、談笑しながら楽しまれて活動されています。手や指の訓練にもなります!

そこで、先月は「書道クラブ」の参加御利用者さんたちと協同で、紙漉きで作成したカードにペン習字で書いて頂きました(下の画が共同で作成した作品です。カラーでないので見づらいですが・・・)。筆習字では、墨が紙に染みてしまい、綺麗に仕上がりにくいため、ペン習字での作品づくりとなりました。ひと月ほど施設内に展示し、施設にお越しになった御家族様や来客の方々にもご覧頂きました。

また、今月の25日には「クリスマス会」が行われる予定です。例年はお食事のトレーにクリスマス仕様のランチョンマットを敷いて目でも楽しめるようにしましたが、今年は紙漉きで作成した物をトレーに敷いてみるつもりです。現在、御利用者様と作成に励んでいます。完成したらまたこの紙面を通じて掲載できたら、と思います。

今後は何を作成しようか検討中です!

3.施設からのお知らせ 

1)使用済みタオルを募集しています!

皆様から頂戴いたしました使用済みタオルですが、日々の排泄介助等の際に活用させて頂いており、一同心より感謝しております。そんな中で度々お願いばかりして恐縮ではありますが、衣替え等に出ましたご家庭で不要となった使用済みタオルが御座いましたら頂戴出来ませんでしょうか?何しろ使用量が多く、消耗が激しいものでして、幾らあってもすぐに足りなくなってしまうのが実際ですので宜しくお願い致します。お電話を頂ければ頂戴にあがることも出来ますので、ご連絡頂けますよう宜しくお願い申し上げます。

2)「ショートステイ」のご利用について

当施設では「短期入所生活介護(ショートステイ)」も行っております。ご自宅で生活されていらっしゃる要介護状態の方(介護保険の要介護認定または要支援認定を受けていらっしゃる方)を数日~数週間の間、一時的に施設にご入所頂きお世話をさせていただいております。お問い合わせは当施設まで宜しくお願い申し上げます。

☎0428(23)6233 (担当:近藤)

月曜日~金曜日・午前9:00~午後5時30分

特別養護老人ホーム カントリービラ青梅